キラーな、イナタい、ヤバい、スキンズ・レゲエ
「スキンズ・レゲエ」などという気持ち悪い言い回しで(「スキンズ」と複数形にしているくせに、なぜか「スキンヘッズ」・レゲエとは言わない)、ミーちゃんハーちゃんが騒ぎ始めたのは、Trojan Recordsの作品がCDで次々と再発された、ここ最近のことじゃないのかな。それ以前は、ここ日本ではレゲエと一緒くたにされていたか全く無視された代物だったと思います。NMEの翻訳紹介雑誌だった『音楽専科』にも、ジョー・ストラマーやジョン・ライドンのインタビューで、「俺がスキンヘッドのころは、こんな音楽を聴いていた・・・」みたいなくだりがよく登場していたんだけどね。
語弊を恐れずに言えば、あんなの60年代のモノラルな音楽だぜ。はっきり言って、認知されるのが遅すぎるよ。完全に後追いでしょ。それこそ、Allegiance "Outlaws"の歌詞じゃないけど、"69 or 84, they're not yours to claim...(69とか84とか、そんなのおまえの知ったことじゃない・・・)"でしょ(笑)。
(2004年9月某日)
"スカ・ディスク・ガイド - 400 Fabulous Discs From Jamaican Oldies Music"
山口 'Gucci' 佳宏(監修)
(リットーミュージック)
今や、ミーちゃんハーちゃんのお遊戯演目として、我が国にも、すっかり定着した感のある「スカ」ですが、こうして、この本に掲載されているレコード・スリーヴを眺めてみると、そこには白人も黄色人種も入り込む余地の無い、つくづく黒人による黒人のための音楽なのだな、ということを思い知らされます。と思ったら、この本に掲載されているレコードは、いわゆる日本でいうところの「レゲエ」、土着的な"Original Ska"と呼ばれているものばかりで、「2 TONE & NEO SKA」と「JAPANESE SKA(なぜか、La-ppischもRude BonesもKemuriも掲載されていない)」の項目に至っては、ほんのオマケ程度の扱いです。全体の割合で言うと、それぞれ1パーセントくらいしかありません(苦笑)。
なるほど、この本の表紙を虫眼鏡で(なくてもいいんだけど)よく見てみると、赤黄緑のラスタ・カラーで塗られた"Ska"ロゴの上に、それとわからないように"The Original"と書いてあります(笑)。スポーツ新聞の見出しじゃないんだからさ(笑)。"400 FABULOUS DISCS FROM JAMAICAN OLDIES MUSIC"という謳い文句も注意して見なければいけませんね。だから、この本のタイトルは、本来ならば「スカ・ディスク・ガイド」ではなくて、「オリジナル・スカ ディスク・ガイド」にするべきだったんですよ。
さて、肝心な中身ですが、スカについての歴史の流れや概要は、冒頭に申し訳程度に書かれているだけで、いきなりディスク・レビューへと突入してしまいます。エセ評論家たちによる、ぶつ切りなレビューが続き、初心者には何が書いてあるのか、さっぱりわからないと思います(巻頭にある「初心者のための頻出語ひと言辞典」は語彙が圧倒的に少ない)。外交でも何でも日本人は戦略が無いとよく言われるけど、THE SKATALITESだけが別格扱いなのはいいとして、この本は大雑把にジャンル分けしてあるものの、何だか全体的に見たら戦略に欠けていて掴み所が無いんだよね。しょっぱい中古レコード店の棚を漁っているような感覚でした。あと、「グルーヴ」「キラーな」「キラー・チューン」だとか「イナタい」「ヤバい」だとか「スキンズ・レゲエ(こんな気持ち悪い言葉使いは有り得ない)」だとかのアホっぽい表現は反吐が出そうになりますね。中でも本根某のエロネタ全開、えげつないレビューが印象に残りました(苦笑)。The SKA TiPZのあの人も執筆しています。しかし、華僑(中国系)プロデューサーが、この種類の音楽に一役買っていたというのは面白いエピソードだよね。「当時、発売された日本盤」というのも面白いです。皿廻し(クラブDJ)達の観点から書かれている本だけど、まあ、何だかんだ言っても色々と勉強になります。
この本、日本初の「スカにスポットを当てたディスク・ガイド」だそうですが、本来ならば遅くとも、ギャズ・メイオール(Gaz Mayall)によってスカ・フレイムス(Ska Flames)が持ち上げられていた、80年代には出すべきでしたね。完全に後追い、これがロック後進国の悲しい性(サガ)なのでしょうか。
なお、参考文献として、偶然ネットで拾った、素人が書いたにしては面白すぎる、「よくわからないスカの歴史」を取り挙げておきます。誰もが自由に情報を発信できる、弱肉強食のインターネット時代というやつの好例ですかね。この本にレビューを書いているエセ評論家の皆さん、素人に先を越されちゃ話にならんぜ(失笑)。
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