事勿れ主義
THE AVOIDED、私は、このバンドが"Taboo"に挑戦するのを期待していたんだが、歌詞の内容を皮肉として捉えたらよいのか、田原総一朗的にいえば、見事に日和っちゃったところが残念だったな。「ムラ社会」に身を置く日本のバンドらしいといえば、日本のバンドらしいけどさ(苦笑)。やっぱり日本には、アメリカやイギリスのような、真の「言論の自由」や「表現の自由」は無いんだね(涙)。
私は、こういう陳腐なステレオタイプのしたり顔の歌詞、きれいごとで糊塗する発想が日本のパンク界の言論水準を劣悪なままにしていると思っている。こういうものの見方や考え方が、「言論の自由」や「表現の自由」や「個人主義」の問題になると、思考停止をきたすのである。物事をタブー視し、聖域化しているので、思考まで聖域となって、考えることをストップするのである。
放送禁止歌 監修によせて デーブ・スペクター
・・・天皇制、在日韓国・朝鮮人、被差別部落。この三点セットが日本でタブーでありながら発言できない、してはいけない、ことになっている。その裏返しというべきか、このタームには人を引きこむ奇妙な魅力がある。立川談志、泉谷しげる、ひと昔前のたけしなどに対して、ひょっとしたらヤバイことを言ってくれるかもしれないという期待感(ある種の罪悪感も含めて)をテレビの前で抱いていることを否定する人は嘘つきであろう。
「朝まで生テレビ」を例外としても、タブーそのものについて話し合って、その根本にある差別意識や先入観を取り壊すなんてことは先進国では当たり前。ところが日本じゃタブーを畳の下にしまっとくのは当たり前。
でもさ、少なくとも音楽、とくにロックなんてものはビビらずコビずというのが「ロック魂」たるゆえんだ。歌う方も、聴く方も、まして放送する側も勇気をもって世論の壁をぶちこわすことが宿命ではないかと誰もが思う。
1960年あたりからこの40年間だけをとってみても日本における社会問題は山積み。なのに私の記憶では、メジャー的に売れたプロテストソングというかメッセージソングはたった一つ。杉田二郎さんの「戦争を知らない子供たち」一曲のみ。
「放送禁止歌」の存在を知りながら、何とかその枠を突破して電波に乗せようとする努力もしない媒体側の遠慮、あきらめ・・・。アーチスト自身の無関心もあると思うけど、これだけの知性にあふれた国でしかも音楽産業市場がアメリカの次に大きいというのに、この状況には絶望するしかない。
あの元X-JAPANのYOSHIKIだって極右の支持団体に誘われて99年の「天皇陛下在位十年記念式典」でヘラヘラしながらわざわざ生演奏をした。みっともない。ミュージシャンとしてなんのためらいもなく引き受けた、そのことの意味に気づかないところがむしろあの行事そのものより恐ろしい。それでロックというのか。ロッカーというのか。
あたりさわりのないラブソングやノー天気な音楽ばかりを歓迎し、人口の九割以上が「放送禁止歌」の存在すら知らないというのも情けない。・・・
とは言え、興味本位や物好きでわざと過激にものを言ってみたり物まねしたりすれば傷つく人が必ずいることを自覚しなければならない。
その意味ではロックンロールを聞いて育ったクリントン大統領が1995年1月24日の恒例の年頭教書で、相次いでいた凶悪事件がマスコミの影響であると責められている中でしゃべった言葉が印象深い。
「この国のエンターテイメントにたずさわる皆さんのクリエイティビィティと世界に広がる成功に拍手したい。あなたたちの表現の自由も支持(尊重)します。ただし、作品がおこす絶大な影響力の責任を意識し、メディアから流出する思慮のない暴力や行動が与えるダメージをたえず配慮する必要があります。」・・・
『放送禁止歌』
森達也(著), デーブ・スペクター(監修)より
(2004年7月某日)
THE AVOIDED "Taboo" CD (HG Fact)
1.LEAVING YOU(さらば 友よ), 2.TABOO(タブー), 3.WAR GAME(ウォーゲーム), 4.WRITING ON THE WALL(壁の落書き), 5.DOWN ON YOUR KNEES(ダウン オン ユア ニーズ), 6.GOOD PAYING JOB(アブレ手当て詐欺事件), 7.STEP INTO THE LIGHT(正気のうちに), 8.REASON WHY(独りぼっちのおまえ)
Jun-ichiro Kageyama - Vocals
Kouji Kimura - Guitars
Takaharu Ohashi - Bass
Masayoshi Yokota - Drums
まず、他の幾多の凡庸なバンドのそれと違って、今までの曲を寄せ集めてベスト・アルバム的な作り方をしていないところが偉いと思う。チャレンジ精神の表れですね。タイトル曲の"Taboo"というのは、日本のシーンについて爆弾発言しているのかと思いきや(いや、このバンドのフロント・マンは一癖も二癖もあって、彼ならばやってくれるだろうと半ば期待していたんですよ)、何のことは無い、日本のマスコミ・報道についてでした。「日本には、真の言論や表現の自由がない」ということが言いたいんでしょうけど、それってワシが「警告」の中で言っていることと一緒ですやん、と思った次第です。やはり、英語の歌詞がちゃんと韻を踏んでいると、聴いている方は気持ちがいいよね。次にどの単語がくるのかなという楽しみもあるし。でも、"better"とかの発音はアメリカ英語的なのに、今時、当の英国人でも使わない"telly"という単語を使ったりしているところに違和感を覚えました。
サウンドは垢抜けたね(笑)。「オイ」「スキンズ」とかいうイモ臭い、しょーもないギミックを振り翳すことなく、英国人のモノマネから脱却していて、オリジナリティに溢れている。でも、期待はずれだった。確かに良い曲は二三あったけど(しかし、それらが前述のシングル曲の再録と"Step into the Light"だけというのも、大枚をはたいて買った消費者側からすると考え物ですな)、彼らがこのアルバムで何がやりたかったのか、いまいちよくわからなかった。前半のBass Lineがヴィジュアル系バンドみたいな"War Game"とか、5曲目のSka、"Down on Your Knees"とか聴いて、あ、滑ってるなと思った。例えて言うならば、「失敗したThe Modsのアルバム」、「New Waveに移行して失敗したAngelic Upstarts」ってところでしょうか。でも、アルバムの全体的な印象としては、The ModsとかThe Street Beatsが好きな人は買いかもしれない。
Taboo
Read the scandals on the paper. The hidden truth and the plotted news
Whether we become aware of it or not, we're too chicken to accuse
Threat! Pressure! and Violence! (All We Got)
You better keep silence cos it's under taboo
The other side people you see it on the telly. Living a life almost suicide
But there's no much difference between the groups here and the dictator of the other side
Threat! Pressure! and Violence! (All We Got)
You better keep silence cos it's under taboo
The founder of a suspicious religion bent on making money and world domination
Is he the traitor or the savior of the world? Ask the controlled mass communication
Threat! Pressure! and Violence! (All We Got)
You better keep silence cos it's under taboo
新聞の見出しに踊るスキャンダル
隠された真実と仕組まれたニュース
だけどそれに気付いたところで
告発する勇気がある奴なんていやしない
恫喝 圧力 そして暴力
そいつはタブーだぜ 黙っておいた方が身のためさ
テレビに映る隣の国の様子
ほとんど自殺まがいの生活を送ってる
だけどこちらの対抗勢力がやってることも
あちらの独裁者がやってることと大して変わらない
恫喝 圧力 そして暴力
そいつはタブーだぜ 黙っておいた方が身のためさ
金儲けに精を出し世界征服をたくらむ胡散臭い教祖様
国賊呼ばわりされるか救世主となれるのか
統制されたマスコミに聞いてみな
恫喝 圧力 そして暴力
そいつはタブーだぜ 黙っておいた方が身のためさ
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