矢沢永吉



4041483026 アー・ユー・ハッピー?
矢沢 永吉

角川書店 2004-04
売り上げランキング : 7,229

Amazonで詳しく見る

成りあがり How to be BIG - 矢沢永吉激論集を紹介したよしみで、アー・ユー・「ピーハツ」?じゃなくてアー・ユー・ハッピー?です。単純明快で勧善懲悪な内容なので(笑)、万人向けの本ですね。しかし、斎藤美奈子氏によると、ビッグスターが満を持して上梓した20年ぶりの新著にしては、伸び悩み気味で、伸び悩んだままフェイドアウトしたという。 確かに『趣味は読書。』 斎藤美奈子 ()の中で酷評されていたように、この本は、威勢の良かった『成りあがり』の頃とは違って、金を騙し取られただとか、あんなに慕っていた家族を裏切って離婚・再婚しただとか、世界進出したのに徒労に終わっただとかの愚痴だらけで、読者をウンザリさせる側面もあるでしょう。しかし、そこは、さすが矢沢永吉。至るところで矢沢節が炸裂しています。彼が業界の古い慣習・常識に果敢に挑戦していく姿はカッコイイし、私が矢沢永吉に感情移入できるのは、ヤンキーとかヤクザとかの群れ社会に所属していないというか(あの珍走団の神様みたいなイメージは一部のファンが勝手に作っただけ)、矢沢永吉は矢沢永吉でしかないという強い個性、徹底した個人主義、一匹狼的なところなんだよね。

あれだけ『成りあがり』の中で金に執着していた矢沢永吉も、実際に成りあがって莫大な富と名声を手に入れると今度は、それを横取りしたり挫いたりしようとする詐欺師・マスコミが現れてくる。幸せって一体何でしょうか?


4041483034 成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集
矢沢 永吉

角川書店 2004-04
売り上げランキング : 4,987

Amazonで詳しく見る

林信吾の、『しのびよるネオ階級社会 - ”イギリス化”する日本の格差』繋がりで、成りあがり How to be BIG - 矢沢永吉激論集です。この本の「おれは音楽をやる、星(スター)になる!」という主張とビートルズに影響を受けたという部分を、スター・クラブヒカゲがパクって『デッドロック・ストリート』を書き下ろしたのかどうかは知りませんが(笑)、矢沢永吉(当時28歳)との間で行われたインタビューを基にして、糸井重里が書き起こして一冊の本にしたものです。

恐らく、矢沢永吉というと珍走団の神様みたいなイメージがあると思いますが、少なくとも、この本を読む限りでは、矢沢永吉自身はチンピラでも何でも無く、曲がったことは大嫌いで、生真面目で、戦略家で、したたかで、常にアグレッシヴで上昇志向だったんですね。幼少の頃の極貧生活がコンプレックスとなり、金に執着して成りあがってやるぞというような人格が形成されていったのだろうとは思うが、この本が昭和531978)年7小学館より単行本として刊行されたことを考えると、その頃の日本は学園紛争後のシラケ世代で、この「成りあがり」というキャラクター自体、かなり浮いたものだったのではないかと思います。「広島」「自分に合ってるかどうかが 才能ってことだ 学校の勉強は役に立たない」の中の、次の個所には妙に説得力を感じてしまったな。

・・・東大以外の大学なら行かない方がいいね。必要ないし、保証ないもの。もし、この社会に大学行った人はどうにかしてくれるって制度があるなら、オレは行くよ。借金してでも。いまの世の中、そうじゃない。・・・

重箱の隅をつつくようで悪いのだが、佐山聡の『ケーフェイ』じゃないが、言葉を裏返しにした業界用語っていうんですか? 「ピーハツ(HAPPY)」「ナオン」「コオマン」「グンバツ」「スリク」「モノホン」「ミーノ(飲み)」と、単語だけで示されると何の事だかさっぱりわからないと思うが(笑)、今や死語と化した不良言葉の連発。丸井じゃなくて「大丸」で買い物するのが、その当時のステータスだったんですかね? その当時の京浜地区の雰囲気が存分に表れていて非常に面白いです。あと、「自分で買ったレコードは四枚だけ」というのは、いくら何でも眉唾物でしょう。

遠い国の過ぎ去った過去に思いを馳せて、リアリティの感じられないジョン・ライドングレン・マトロックの自伝を読む前に、この矢沢永吉の『成りあがり』を読んでください。時間と金はあるんだけれども夢や希望を失ったニートの若者や、不景気の今だからこそ、再び脚光を当ててもらいたい一冊です。あ、「一億総中流、仏作って魂入れず」の「ドキュソOi一座」にもお勧めしますよ(笑)。



戻る


(C) 2003-2005 DOLL Q ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.